今回の小生の手記は「日本の国益アメリカの国益」です。
昨年9月に小生はアメリカによるイラク攻撃で始まる第五次中東戦争を予測いたしました。
これはアメリカの100年先までの国家戦略である資源確保の問題と現在リッセッションに入ってきたアメリカ経済の立て直しに向けたアメリカ大統領ブッシュ氏の戦略であると言う事は前回もお話した通りです。アメリカは2001年3月まで日本を含め他国の資金を取り入れ未曾有の繁栄を築いて来ました。
しかしながらアメリカの国債や株の販売などによって得られる対米流入資金はアメリカにとっては負債でありこれを返済する為には容易な事ではなく、その為にはどうすれば手っ取り早く解決するかを探っておりました。
昨今の世界経済と世界戦略はアメリカによって創造されており、ほとんど独占状態であります。この1〜2週間のアメリカの株価を見るとNYダウが8000ドルを割り込む事態になっております。
先ほどお話したように日本をはじめ他国が所有しているアメリカ国債や株等の資産はアメリカの対外負債であることは言うまでもありません。その対外負債をいかに無理なく返済するかと言う事はアメリカの株価を随時暴落させたり又、復活させたりして調整する以外には無いわけです。
日本の一般投資家はその様なアメリカの国策に一喜一憂している事は滑稽と言えるでしょう!
しかしながら、世界の中で一番アメリカの国債を所有している日本にとってそれは日本経済の死活問題にも関わることです。アメリカはこの事により何の苦労も無く何年間にもわたって流入した他国資金を返済する事が出来るわけです。
アメリカは一番の同盟国であり又、自国の金庫代わりである日本を如何に操縦するかによって自国の負債を減らし富の創造を確保する為に日本の円高誘導と言うウルトラCを使いながら間接的には日本に集まった資金をアメリカに還流させる目的があるのです。資金はその様にしてアメリカの意のままに調整が出来ますが、もっと大事な国策国益を得る為の目的がアメリカには必用です。
それはエネルギー戦略です。
第四次中東戦争まではアメリカのエネルギーはソビエトとの関係もありアラブ諸国に依存する以外に方法はありませんでした。その為、アメリカの国益に沿った考えを持たないイランやイラクはアメリカの敵であり、その為その国をターゲットにした紛争を第三国を通じて意図的に起こさせマッチポンプの役割をしてきました。
一言目にはアメリカは世界の警察官と自負しておりますが、小生はこのアメリカこそマッチポンプの立役者ではないかと思っております。数ヶ月前にアメリカとソビエトは互いの国益の為にエネルギーの相互交換条約なるものを結び世界第二位の石油輸出国とGDP一位のアメリカの富がお互いの利益の為に手を結びました。
先週には20万トンのタンカーに積まれたソビエトの原油がアメリカに到着致しました。つい何週間前にはこの様な思いもしないドラマが展開されました。
さて、ここでアメリカの国益がどのようにして守られようとしているか考えてみましょう。
その前にアメリカとソビエトが急接近していた事実を頭に入れておいて下さい。昨年NYで起きたツインタワーのテロ事件は世界に衝撃をもたらしたと同時にアメリカに対し未曾有の同情を集めました。
しかし、最近分かって来た事はアメリカのCIAやFBIはこのテロ事件を事前に予測解明していたと言う衝撃的な報告がありました。しかし、この報告はアメリカの国益に沿わない為、深く追求される事無く葬り去られ様としております。
この事件こそアメリカの国益にとって最大限の貢献した事件と言えるでしょう!
この事件を契機にアメリカはテロ撲滅と言う大義名分を世界に発信し、自国の国益にかなう戦略をどんどん推し進めようとしております。
皆さんアフガニスタンという国は世界地図の何処に位置しているかお分かりでしょうか?
又、アフガニスタンという国の産業や資源がどれだけのものか?お分かりでしょうか。
大国アメリカが一週間で制圧でき、資源や産業のほとんど無いこの小国を現在までも管理し、今後も管理し続けようとしているかがこの問題の答えです。
アメリカがアフガニスタンの重要性を認識し始めたのは米ソの冷戦が終わりパートナーシップとしての重要性を考え始めたときに始まりました。中東依存の石油体制はいずれ続かないと考えたアメリカはその矛先をソビエトとその周辺の北海油田に向け初めました。 そしてたどり着いたのがソビエトが所有する大油田地帯だったのです。
しかし、ソビエトからアメリカにその原油を輸送するルートに至り一番戦略的価値を見出されたのがアフガニスタンだったのです。
海岸線のパキスタンはすでにアメリカの意に沿った政策をしており、問題はタリバン政権が支配していたアフガニスタンをいかに攻略するかの問題でした。そこに降って沸いたようなビンラディン率いるテロリストのアメリカ攻撃によりアフガニスタン攻略の大義名分が出来たわけです。
アフガニスタンを攻略する事により北海油田やソビエトの油田から湧出する原油を最短距離でアメリカに輸送するルートが確立したわけです。
先週アメリカに到着した原油はソビエトより黒海を通り地中海を経てアメリカに輸送されました。そのため大型タンカーが使えない為二度にわたる原油積み替えを余儀なくされ、莫大な輸送コストがかかりました。
アフガニスタンの攻略とそれに伴うアメリカの支配によりその地中海ルートを通る事無くインド洋を通る最短ルートにより原油をアメリカに送る事が出来る事になるわけです。
この事からアメリカのアフガニスタン攻撃がアメリカ国家の重要な国益に絡む戦闘行為であったと言う事がおわかりだと思います。更にアメリカはそれと並行して更なる国益を得る為に最終戦略を進めようとしております。それは「世界的公共事業」をする事で一気にアメリカの対外債務を返済すると同時に更なる経済の発展を目指す事です。
「世界的公共事業」これこそアメリカが今仕掛けようとしている第五次中東戦争なのです。現在アメリカが大義名分を持って戦争を仕掛けられるのはすでに全世界にテロ国家として認識させているイラクを中心とした中東地域しかありません。この「世界的公共事業」の戦争によって得られるアメリカ国内産業の急発展は兵器産業とそれに伴う民生産業によって得られる500億ドル(60兆円)以上ともいわれる莫大な国家財政なのです。
この三つの国家戦略こそブッシュ氏親子が二代にわたって考えた大きな博打であり、実現可能な戦略だったのです。そしてこの事は今のアメリカにとって絶対不可欠の国益に沿った国家戦略なのです。
そのアメリカの国家戦略の手の上でもてあそばれている日本の国家戦略はいったい何処に存在するのでしょうか?
小生のコラムの一話、コラム二話でお話した通り今の日本は国家戦略を立てる以前の国家存亡の危機に現在たっていると言えるでしょう。昨今のテレビ討論を見ていると国会議員も経済人も目先の利益や改革に目をとられ日本の100年いや10年先の国家戦略さえも見えてきません。
今回のコラムではアメリカの国家戦略について多くの時間を割きましたがこの事は日本の国家戦略を考える上で重要なテーマを与えるものといえるでしょう。先週7月18日アメリカの株式が優良企業の不正経理操作の発覚に端を発し暴落をはじめましたアメリカの経済学者の見解によるとアメリカは日本と同じくバブルがはじけ始めており、もしはじけた場合は日本と同じような長い期間回復が難しいだろうと言っております。アメリカの経済成長の低下はその経済に依存している日本経済はどうなるかは皆様、想像できると思います。
この一週間小泉首相の改革に対する政策は急速に進められようとしております。元総理の中曽根氏は7月20日に小泉首相の改革を支持し、その事は「戦後2回目の大改革」だと言い始めてきております。戦後一回目の大改革についてはコラムの一回目とコラムの二回目にて詳しく話していますので再度ご覧下さい。
住民基本台帳制度も来月から実施され国民総背番号制度が始まります。その事も小生が一回目と二回目に話した事に関連してきますので良く分かると思います。
いずれにせよ今の日本は目が離せないような政治経済状態に突入している事は間違いありません。皆様今後日本の動向には注意して見ておいて下さい。
日本の国家戦略については又の機会にお話する事に致しましょう。
それでは本日は御精読ありがとうございました。
日海